浸水想定区域とは?調べ方・家を建てる前に確認するべきポイント アイキャッチ

浸水想定区域と聞くと、その土地に家を建てるのは難しいと考える方が多いと思います。

 

ただし、区域に指定されているからといって、家を建てられないわけではありません。

重要なのは、浸水の深さや続く時間といったリスクの中身を知り、土地と建物の両面から備えることです。

 

この記事では、浸水想定区域の意味と法的な根拠から、重ねるハザードマップを使った3分でできる調べ方、家を建てる前に確認したい3つのポイントと建物側でできる対策までを順に解説します。

 

コラムのポイント
  • 浸水想定区域でも家は建てられる。判断の鍵は「浸水深・浸水継続時間・家屋倒壊等氾濫想定区域」の3つ
  • 住所を入れるだけで、重ねるハザードマップから3分で自宅の浸水リスクを確認できる
  • 高基礎・間取りの工夫・電気設備の位置で、浸水リスクは建物側からも軽減できる

 

 

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浸水想定区域|水防法などにもとづき浸水リスクを示した区域のこと

災害時一時集合場所を示す看板

浸水想定区域とは、大雨や台風などによる河川の氾濫、あるいは高潮・津波などが発生した場合に、浸水するおそれがある区域を示したものです。

 

国や都道府県などは、水防法にもとづいて洪水・雨水出水(内水)・高潮の浸水想定区域を指定・公表しています。

 

なお、津波については水防法ではなく、津波防災地域づくり法にもとづいて都道府県が想定を設定しています。

住民があらかじめ浸水リスクを把握し、避難や土地選び、防災対策に役立てることが目的です。

〈参照〉e-Gov法令検索:水防法

4つの浸水リスク|洪水・内水・高潮・津波

ハザードマップで確認しておきたい浸水のリスクには、原因の異なる4つの種類があります。

浸水の種類 主な原因 特徴
洪水 河川の増水・氾濫 大雨で川の水が堤防を越えたり、堤防が決壊したりして浸水する
内水(雨水出水) 排水能力を超える大雨 下水道や排水路で処理しきれず、市街地が浸水する
高潮 台風などの気圧低下・強風 海面が上昇し、沿岸部で浸水する
津波 海底を震源とする地震 大規模地震による津波が沿岸部へ到達して浸水する

※このうち、水防法にもとづく「浸水想定区域」として指定・公表されるのは、洪水・内水・高潮の3種です。

津波については、津波防災地域づくり法にもとづく「津波浸水想定」として、別に想定区域が公表されています。

 

たとえば、「近くに大きな川がないから安心」とは限りません。

都市部では短時間に大量の雨が降ることで排水が追いつかず、内水氾濫による浸水が発生することがあります。

 

また、海に近い地域では高潮や津波のリスクも考慮する必要があります。

土地を検討する際は、どの浸水リスクが想定されている区域なのかを確認することが重要です。

「計画規模」と「想定最大規模」同じ場所でも色が違う理由

ハザードマップを見ると、同じ土地でも地図によって色(浸水の深さ)が違う場合があります。

これは、想定している雨の規模が異なるためです。

  • 計画規模:その川を整備するときの目標となる規模の大雨。比較的起こりやすいレベルを想定。
  • 想定最大規模:想定し得る最大規模の大雨。めったに起きないものの、起きれば最も深刻な被害につながるレベルを想定。

同じ場所でも、「計画規模」では色がつかない、あるいは浅い土地が、「想定最大規模」では濃い色で表示されることがあります。

 

住宅を建てる土地を検討する際は、計画規模だけではなく、想定最大規模のハザードマップもあわせて確認することが大切です。

 

土地探しの段階から、浸水リスクを踏まえた家づくりをご検討中の方は、actie(アクティエ)にご相談ください。

actieでは、各エリアの特性・ハザード情報などに熟知した専門スタッフが土地探しから設計・施工・アフターフォローまで一貫してサポートします。

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浸水想定区域の調べ方|住所を入れて3分で確認できる

ハザードマップの画面イメージ

気になる土地の浸水リスクは、住所を入力するだけで自宅にいながら確認できます。

主な方法は、国が運営する「重ねるハザードマップ」と、市区町村が公開する「自治体の公式マップ」の2つです。

ハザードマップポータルサイト「重ねるハザードマップ」での確認方法

「重ねるハザードマップ」は、国土交通省(国土地理院)が運営する全国共通のサイトです。

洪水・土砂災害・高潮・津波などの災害リスクを、全国の地図上に重ねて表示できます。

 

確認方法は以下のとおりです。

  1. 「重ねるハザードマップ」を開く
  2. 検索欄に調べたい土地の住所を入力する
  3. 表示された候補から該当する住所を選ぶ
  4. 「洪水」「高潮」「津波」など、確認したい災害の種類を選ぶ
  5. 地図の色と凡例を照らし合わせ、想定される浸水深を確認する

「洪水」を選んだ状態では、浸水深に加えて、浸水継続時間や家屋倒壊等氾濫想定区域も切り替えて表示できます。

土地選びで確認したい3項目を、同じ画面上でまとめてチェックできるのが強みです。

複数のリスクを重ねて表示できるため、「洪水の区域には入っていないものの、土砂災害のリスクがある」といった土地の特徴も把握しやすくなります。

 

ただし、内水(雨水出水)は、このサイトの災害種別には含まれていません。

内水のリスクは、次に紹介する自治体の公式マップや、都道府県が公表する浸水予想区域図で確認できます。

 

なお、重ねるハザードマップは、周辺の災害リスクを面的に把握するためのものです。

表示の境界線だけで土地の安全性を判断せず、周囲の地形や避難経路、自治体が公開する資料もあわせて確認してください。

〈参照〉ハザードマップポータルサイト

自治体の公式マップの確認方法

重ねるハザードマップで浸水リスクを調べた後は、土地がある自治体の公式ハザードマップも確認しましょう。

 

自治体のマップには、浸水深だけでなく、指定避難所や避難経路、災害ごとの注意点など、地域で避難するために必要な情報が掲載されています。

 

actieが家づくりを手がける東京・愛知を例に、確認できる情報を以下にまとめました。

エリア 確認できる主なマップ チェックポイント
東京都 ・市区町村の洪水ハザードマップ
・洪水浸水想定区域図(外水)
・浸水予想区域図(外水+内水)
・区域図は河川の氾濫、予想区域図は内水も対象。
・両方を見れば洪水と内水の両面を確認できる
愛知県
(大府市)
・洪水ハザードマップ(境川など)
・雨水出水(内水)浸水想定区域図
・東海豪雨の浸水実績図
 ・おおむね1000年に1度の大雨(想定最大規模)で作成。
・2000年の浸水実績も確認できる

 

洪水だけでなく内水や過去の浸水実績まで確認できるのが、自治体マップの強みです。

土地を検討するエリアが決まったら、該当する自治体のマップに必ず目を通しておきましょう。

〈参照〉東京都ホームページ:建設局「洪水ハザードマップ」

〈参照〉東京都ホームページ:建設局「洪水浸水想定区域図」

〈参照〉愛知県大府市ホームページ:「洪水ハザードマップと浸水実績」

浸水想定区域の土地に家を建ててよいのか|判断の考え方

地盤調査

浸水想定区域に含まれる土地でも、原則として家を建てることは可能です。

 

区域内かどうかという「線引き」だけで判断するのではなく、そのリスクの中身を見極めることが大切です。

 

ここでは、土地を判断するときに確認したい3つの視点と、購入前に受けられる説明、そして建物側でできる備えを順に見ていきます。

確認するべきは「浸水深」「浸水継続時間」「家屋倒壊等氾濫想定区域」の3つ

浸水想定区域の土地を検討する際は、以下の3項目を確認することが重要です。

確認項目 何を示すか 見るときのポイント
浸水深 想定される浸水の深さ 床下・床上・2階まで、と深さで被害の大きさが変わる
浸水継続時間 浸水が引くまでにかかる時間 長いほど在宅避難や生活再建が難しくなる
家屋倒壊等氾濫想定区域 家屋が倒壊・流失するおそれのある範囲 該当する場合は建物の工夫より避難の検討を最優先

浸水想定区域では、浸水深だけで判断しないことが大切です。

 

たとえば、浸水深が50cm程度でも浸水継続時間が長ければ、ライフラインの停止や道路の寸断により、自宅で生活を続けることが難しくなる場合があります。

また、家屋倒壊等氾濫想定区域に該当する土地では、建物が強い水の流れによって流出・倒壊するおそれがあります。

 

この場合は、高基礎などの建物側の対策だけでは十分とはいえず、土地選びそのものを慎重に検討することが大切です。

 

土地のリスクを正しく把握したうえで、基礎の高さや間取り、設備の配置などを設計へ反映することが、安全な家づくりにつながります。

2020年から重要事項説明が義務化|購入前に必ず説明

2020年8月28日から、不動産取引時の重要事項説明において、水害ハザードマップ上の対象物件の所在地を説明することが義務化されました。

 

宅地建物取引業者は、市区町村が作成した水害ハザードマップを提示し、購入予定の土地や建物がどこに位置しているかを説明する必要があります。

対象となるのは、水防法にもとづいて作成された洪水・雨水出水(内水)・高潮のハザードマップです。

 

ただし、重要事項説明を受けるだけで、その土地の安全性を判断できるとは限りません。

説明の中心は、ハザードマップ上における物件の位置です。

想定浸水深を踏まえてどのような家を建てるべきか、災害時に自宅へとどまれるかといった設計・避難上の判断まで保証する制度ではありません。

 

なお、浸水想定区域の外にある土地でも、地図に載っていれば位置を示して説明されます。

区域の外だから水害リスクがない、とは限らない点にも注意が必要です。

 

また、重要事項説明は契約直前に行われることもあります。

土地の購入を具体的に進める前に、自分でもハザードマップを確認し、住宅会社へ以下の内容を相談しておくことが大切です。

  • 想定浸水深に対して床の高さを確保できるか
  • 安全性を考慮した間取りにできるか
  • 給湯器や分電盤などを高い位置へ配置できるか
  • 建築費用にどの程度影響するか
  • 災害時に安全な場所へ避難できるか

土地と建物は分けて考えるのではなく、希望する住まいを安全に建てられる土地かという視点で検討しましょう。

建物側でできる対策|高基礎・間取りの工夫・電気設備の位置など

浸水リスクのある土地では、想定浸水深に応じて基礎や間取り、設備の位置を工夫する方法があります。

代表的な対策は、以下のとおりです。

  • 高基礎:基礎や1階の床を通常より高くする
  • 盛り土:敷地全体の高さを上げる
  • 2階への居室配置:寝室やリビングを2階に設ける
  • 水回りの配置:給湯設備や重要な配管を浸水しにくい位置へ設ける
  • 電気設備のかさ上げ:分電盤・コンセント・室外機などを高い位置へ設置する
  • 止水対策:玄関や開口部から水が入りにくい仕様にする

こうした工夫をどこまで取り入れられるかは、間取りや設備の位置をどれだけ柔軟に決められるかで変わります。

 

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「浸水想定区域」に関する質問Q&A

Q&A

浸水想定区域について、土地探しの際によく寄せられる質問をまとめました。

Q. 火災保険の「水災補償」は必要ですか?

A. 浸水想定区域内に家を建てる場合は、水災補償を付ける必要性が高いと考えられます。

 

一般的な火災保険で水災補償の対象となるのは、河川の氾濫や内水、高潮、土砂災害などによる建物・家財の損害です。

 

ただし、補償の有無や支払条件、免責金額は保険商品によって異なります。

加入を検討する際は、ハザードマップの色だけで判断せず、想定浸水深や過去の浸水履歴、土地の高低差も確認しましょう。

 

建物だけでなく、家財や給湯器、エアコンの室外機などが被害を受けた場合に、どこまで補償されるかを保険会社や代理店へ確認することも大切です。

Q. 近くに川がないのに「浸水想定区域」になるのはどうしてですか?

A. 浸水は、川の氾濫だけで起こるわけではないためです。

 

大雨で下水道や排水路が水を処理しきれなくなると、川から離れた市街地でも道路や敷地が浸水します。

この現象が内水氾濫です。

 

また、周囲より低い土地や、かつて水路・田んぼ・池だった場所は、もともと水が集まりやすい地形です。

海に近い低地であれば、台風のときの高潮も浸水の原因になります。近くに大きな川がないからといって、浸水のリスクがないとは言い切れません。

 

そのため、土地の水害リスクを調べる際は洪水だけを見るのではなく、内水・高潮・津波のマップも確認してください。

Q. 浸水想定区域内の土地は資産価値が下がりますか?

A. 浸水想定区域内だからといって、資産価値が一律に下がるわけではありません。

 

土地の価格は、駅からの距離や周辺の生活環境、街の人気など、さまざまな要素で決まります。

浸水リスクはそのうちのひとつです。

 

ただし、2020年に水害リスクの重要事項説明が義務化されて以降、買い手が浸水リスクを把握したうえで土地を選ぶ流れが定着しました。

そのため、リスクの程度によっては価格に影響することもあります。

とくに、家屋が倒壊・流失するおそれのある家屋倒壊等氾濫想定区域は、より慎重に見られやすい区域です。

まとめ|浸水リスクは「避ける」に加え「知って備える」

まとめ

本記事では、浸水想定区域の意味や調べ方、家を建てる際に確認したいポイントから建物側の対策までを解説してきました。

 

浸水想定区域は、指定されているだけで住めない土地を意味するものではなく、リスクの中身を知り、土地と建物の両面から備えることが大切です。

ハザードマップで浸水深や浸水継続時間を確かめ、家屋倒壊等氾濫想定区域に該当しないかを押さえておけば、同じエリアでもより安全な土地を選びやすくなります。

 

この記事が、浸水リスクを「避ける」だけでなく「知って備える」視点で土地選びを進める一助となれば幸いです。

 

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