
耐震等級3を検討するとき、費用や間取りとの兼ね合いから「そこまでの耐震性が必要なのか」と迷うことがあります。
限られた予算をどう配分するかという視点は大切ですが、検討する前に耐震等級について確認する段階を踏む必要があります。
耐震等級3は、住宅性能表示制度で定められた耐震性能の最高等級です。
本記事では、「意味ない」と考えられる理由を整理したうえで、実際の地震の調査結果、地盤や予算とあわせて確認したいことを解説します。
- 費用や間取りの制約は、耐震等級3の性能を「必要ない」とする話題とは別の論点です
- 耐震等級3は被害を抑えるための備えですが、無被害や地震後の居住継続を保証するものではありません
- 「等級3相当」という表現だけでは、耐震性の確認方法や第三者評価の有無までは分かりません
- 地盤・構造の確認方法・施工・証明書類まで含めて検討することが大切です
Contents
耐震等級3が「意味ない」と言われる4つの理由

耐震等級3に対して「意味がない」という意見には、性能そのものへの疑問と、費用や間取りの制約への不満が混ざることがあります。
はじめに、耐震等級3は等級1で想定する地震力の1.5倍に対する耐震性能を確認するもので、この「1.5倍」は、震度や地震に耐えられる回数の倍率ではありません。
この点を踏まえて、耐震等級3に関する4つの疑問を整理しましょう。
| 疑問 | 指摘として妥当な部分 |
分けて考えたいこと
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| 等級1でも建築基準を満たすので、等級3は不要 | 等級1は建築基準法相当の水準で、等級1を選ぶこと自体が違法・手抜きというわけではない |
基準を満たすことと、より大きな地震力に対する性能を確保することは別に考える
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| 「1.5倍」と言われても、実際の違いが分からない | 倍率だけでは、地震時の被害を具体的に想像しにくい |
1.5倍は制度上の地震力の比較であり、被害率や震度、必ず耐えられる回数を表す数字ではない
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| 普段の暮らしでは違いを感じない | 耐震性能の差は、日常の使い勝手だけでは分かりにくい |
耐震性能は、大きな地震への備え・保険・安心を提供するものとして検討する
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| 等級3でも絶対安全とは言い切れない | 揺れの特性、地盤の変状、施工・維持管理などでも被害は変わる |
無被害を保証しないことと、耐震性能を高める意味がないことは同じではない
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こうした疑問は、耐震等級3が無意味というより、性能の意味や限界が十分に伝わっていないことから生じます。
絶対の安全を保証するものではありませんが、大きな地震への備えを強める選択肢として検討することが大切です。
熊本地震で、耐震等級3の住宅は実際にどうなったのか

〈引用〉国土交通省 熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書について
2016年の熊本地震では、益城町中心部で震度7が2回観測されました。
国土交通省が建築研究所と連携してまとめた資料では、調査対象の耐震等級3の住宅について、等級3の16棟のうち14棟が無被害だった結果が示されています。
なお、こちらの比較は等級3と等級1を同じ条件で比較した調査ではありません。
対象は「等級3:16棟」と「等級1:301棟」で敷地や建物の条件も同一ではないため、「等級3なら87.5%の確率で無被害」「等級1の無被害率は60.1%」と一般化は避ける必要があります。
また、熊本県熊本地方では、2026年7月28日にも最大震度7の地震が発生しています。
上記は2016年の調査結果です。2026年の地震についても、建築研究所が建物被害の調査報告を順次公開しています。最新の情報が気になる方はご確認ください。
〈参考〉国立研究開発法人 建築研究所 令和8年(2026年)熊本地震関係特設ページ
等級3を採用したい場合と、あわせて確認したい条件

耐震等級3を検討する際は、建物の性能と、性能を生かすための条件を分けて考える必要があります。
- 等級3を重視したい場合:大きな地震による建物の被害を抑えたい、長く住む住宅として耐震性能を高めたい、被災後の修繕・建て替えの負担も考えて備えたい
- あわせて確認したい条件:地盤と基礎の計画、構造の確認方法、施工品質、断熱や広さとの予算配分
地震後の暮らしまで考えて、構造の性能を検討する
地震による倒壊を免れても、損傷の程度によっては修繕や仮住まいが必要になる可能性があります。
人命を守る備えとあわせて、住まいの被害を抑えるためにどこまでの性能を確保するかを考えることが大切です。
耐震等級3でも「地震後に必ず住み続けられる」とは言えません。
設備や内外装、周辺環境、ライフラインの被害も生活に影響するため、耐震等級と居住を継続するための備え(備蓄や災害対応の設備など)をあわせて検討します。
【関連コラム】:地震に強い家の特徴・構造、建てる際のポイントを解説
地盤・基礎・施工と予算配分も一緒に確認する
耐震等級3を検討するときは、建物の強さに加えて、土地の状態や予算の配分などもあわせて確認します。
- 地盤と基礎:地盤調査の結果に合わせて、基礎の種類や地盤改良の必要性を検討する。耐震等級の表示だけで、液状化や地盤崩壊への対策が十分かは判断できない
- 後から変えにくい部分:柱・梁・基礎などの構造体や壁内の断熱材は、変更に大きな工事が伴う。将来の改修負担も考え、予算を配分する
- 耐震・断熱・間取りの両立:同じ条件の見積もりを比較し、必要な性能と希望の広さをどう確保するか確認する
予算に合わせて断熱性や床面積を調整することと、耐震等級3を取得して耐震性を高めることは両立できます。
どちらの希望も両立できる設計者に相談することをおすすめします。

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敷地条件やご予算、地震後の暮らしまで見据え、ご家族に合ったプランを提案いたします。
等級3を選ぶ前に確認する3つのこと

耐震等級3の取得を検討するなら、表示の根拠、構造の確認方法、適用した基準といった点の確認をしましょう。
(1)「等級3相当」か、「評価書類で確認できる等級3」か
検討する中で「耐震等級3相当」という記述を見かけることがあります。
実は「耐震等級3相当」は、住宅性能表示制度の評価書に記載された等級3と同じ性能を有するとは限りません。
耐震等級3を正式に取得するためには、住宅性能表示制度では、登録住宅性能評価機関が性能を評価し、評価書を交付します。
一方で「耐震等級3相当」という呼び方だけでは、計算・確認の方法や、第三者評価の有無までは分かりません。計算書や評価書など、性能の根拠を確認しましょう。
耐震性の高い住まいをご希望であれば、第三者機関が審査し、評価した書類が付属する「耐震等級3」の取得をおすすめします。
耐震等級3のメリットとして取り扱われる、地震保険料の割引や住宅ローン金利の軽減といった手続きにも、評価書類は必要です。
【関連コラム】:注文住宅で予算オーバーしない費用の決め方|家を建てる費用相場とは
(2)構造の確認方法
木造住宅の耐震性を確認するには、以下のとおり複数の方法があります。
- 住宅性能表示制度の評価方法基準に沿って壁量や床などを確認する方法
- 許容応力度計算によって部材や接合部などを確認する方法
いずれの方法でも、「耐震等級3の基準を満たしているか」まで確認することが大切です。
建築基準法を満たしていることや構造計算を行ったことだけで、自動的に等級3になるわけではありません。
依頼先には、どの方法で等級3への適合を確認し、どの書類で結果を確認できるかを聞きましょう。
吹き抜けや大きな窓を希望する場合も、間取りを決める段階から構造と合わせて相談すると、実現できる形を検討しやすくなります。
(3)2025年の壁量基準見直しを、どのように反映しているか
2025年4月から、木造住宅の必要な壁量などを、建物の仕様や重さに応じて計算する基準へ見直されました。
家づくりのパートナーには、次の点を確認しましょう。
- 適用した基準:自宅のプランを、どの基準で設計しているか
- 壁の量と配置:建物の重さや間取りに合わせ、必要な強さをどう確保しているか
- 等級3への適合:見直し後の基準を踏まえ、等級3をどう確認しているか
基準の見直しによって全ての住宅で耐力壁が増え、耐震性が高まるわけではありません。
建築年代だけで性能の優劣を決めず、適用した基準と、自宅の設計内容を確認することが大切です。
〈参考〉国土交通省 木造建築物における省エネ化等による建築物の重量化に対応するための必要な壁量等の基準について

当社actieは、耐震等級3の耐震性を標準とした家づくりに取り組んでいます。
地震に強い安心の家づくりと、施工事例にあるような「おしゃれ」かつ「住みやすい」家を提供していますので、これから注文住宅をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
耐震等級3に関する疑問と回答

耐震等級3に関して、疑問に感じやすい点をまとめてご紹介します。
Q:ハウスメーカー側から「耐震等級1で十分」と言われたらどうすればよいですか?
A:等級1は建築基準法相当の水準で、遭遇する地震によっては大地震を受けても耐えられる可能性はあります。
そのうえで、どの規模の地震力まで想定するかは別の話題で、より強い地震を想定する場合や、被災後に在宅避難を希望する場合は耐震性を高めることは有力な選択肢になります。
等級1を勧める理由と、等級3にした場合の費用・間取りの違いなどを確認し、希望を伝えましょう。
Q:制震装置を設置すれば、耐震等級を高める必要はないですか?
A:制震装置は揺れによる損傷を抑えるためのもので、建物に必要な耐震性能を確保する代わりにはなりません。耐震性能を確保したうえで、制震を組み合わせることを検討しましょう。
地震は1度で終わるわけではなく、前震・余震と複数回揺れが襲い来るケースも考えられます。
この場合、何度も揺れの減衰効果を発揮する制震装置は効果を期待できます。
actieでも、倒れない家に加えて「壊れない家」を目指して、制震ダンパーを設置することも可能です。
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まとめ|「100%安全ではない」ことと「意味がない」ことは分けて考える

耐震等級3は、基準で定める地震力に対して、等級1より高い耐震性能を検証するものです。
無被害や地震後の居住継続を保証するものではありませんが、それを理由に耐震性を高めることに「意味がない」と判断することも適切ではありません。
耐震等級3が必要なのか、不要なのか、検討する際には、敷地の地盤や構造の確認、費用や補助金など総合的な検討が必要です。
判断に迷う方は、耐震等級3が標準仕様で、制震装置の導入にも対応できる、actieにご相談ください。










