「LVLがどんな木質建材なのか詳しく知りたい」とお考えの方へ。
LVLは戸建て住宅・マンションなどで採用されており、どんな木質建材なのか、使用するメリット・デメリットなどが気になる方も多いと思います。
今回は、LVLの特徴や製造方法、使用するメリット・デメリットなどを紹介します。
- LVLの基礎知識について解説します。
- LVLを使用するメリット・デメリットを紹介します。
LVLとは?
LVLとは、単板(たんばん)の繊維方向をそろえて積み重ね、接着して作られた木質建材です。
合板(ごうはん)の製造工程と似ていることから「平行合板」と呼ばれていましたが、現在では「Laminated Veneer Lumber」を略してLVLと呼ばれています。
次で、LVLについて詳しく解説します。
LVL:単板積層材
前述したように、LVLは製造工程で単板をそろえて積み重ねるため「単板積層材」とも呼ばれます。
2〜6mm程度に薄くスライスした単板を、数層から数十層に積み重ねて製造します。
LVLの製造方法
LVLの製造方法は、最初にロータリーレース・大型ナイフなどで丸太を切削し、単板を生産します。
続いて、生産した単板を平行積層し、接着するとLVLの完成です。
CLT、合板、集成材との違い
LVLと似ている木質材料に、CLT・合板・集成材などがあります。
集成材 | CLT | 合板 | LVL | |
---|---|---|---|---|
製造方法 | ひき板を平行積層して接着する | ひき板を繊維方向が直交するように接着する | 単板を互い違いに交差させて接着する | 単板の繊維方向をそろえて接着する |
木材の厚さ | 150~450mm | 36~500mm | 9~28mm | 45~150mm |
用途 | 内装、家具など | 床・壁など | 屋根の下地・DIYなど | 構造躯体 |
ご覧のように、製造方法・用途などに違いがあります。
近年は木造ビルに利用することも
LVLは、一般的な無垢製材に比べて約1.5倍の強度を誇る点が特徴です。
その優れた強度が評価され、近年では木造ビルに利用されるケースが増えています。
actie(アクティエ)では、構造躯体(建築構造を支える骨組み)にLVLを使用しています。
LVLは完全乾燥材のためやせはほとんどなく、反り狂いにも強い木質建材です。
高気密住宅・通気工法による寸法変化がほとんどないため、快適な住環境を実現できます。
LVL(単板積層材)を使用する「7つのメリット」
LVLは強度に優れているだけでなく、以下のメリットもあります。
・安定した強度の木材になる
・寸法のバラツキが少なくなる
・乾燥収縮による割れ、反りが少ない
・積層数の増減で厚みの異なる木材を作れる
・縦方向につなぐことで長尺の製品にも対応する
・防腐、防蟻処理を生産時に施せる
・二酸化炭素の貯蔵など環境に配慮した住まいにできる
LVLの魅力を見ていきましょう。
安定した強度の木材になる
強度にばらつきがある木材を使うと、木材の品質によって仕上がりに影響が出るケースがあります。
LVLは製造の過程で木材の質の悪い部分を取り除き、強度が弱い節などを分散させているため、強度が均一です。
木材の品質が安定しているため、安定した強度の住宅になります。
安定した強度を保てる特性から、中規模・大規模の建築物にも幅広く利用されています。
寸法のバラツキが少なくなる
LVLは単板を積層して均一に整えて製造することで、流れ節や品質の低い部分を取り除けるため、寸法のバラツキが少なくなります。
寸法のバラツキが少ないと天井や壁のゆがみを抑えられ、見た目が美しく仕上がる点がLVLを使用するメリットの1つです。
乾燥収縮による割れ、反りが少ない
LVLは積層の前に木材を含水率14%以下に乾燥させることで、木材特有の乾燥収縮による割れや反りが少なくなります。
長期間にわたって形状を保つことで、耐久性の高い建材として使用可能です。
積層数の増減で厚みの異なる木材を作れる
LVLは積層数を増減することで、用途に合わせたさまざまな厚みの木材を作れます。
また、長さ・幅なども加工によって調整可能です。
用途に応じた厚さ・長さなどを実現できるため、多くの住宅建築に活用されています。
このように、用途に合わせて柔軟に厚さ・長さなどを調整できる点がLVLを使用するメリットです。
縦方向につなぐことで長尺の製品にも対応する
LVLは、長尺の製品が必要な場合にも対応できる優れた素材です。
曲がった木・間伐材などの短い丸太でも、単板を縦方向につなぐ製造技術により、ほかの木材では対応が難しい長尺の部材を作れます。
また、縦につないだ部分の位置を層ごとに分散させることで、製品の強度を十分保証することが可能です。
このLVLの特性は、大規模な建築物・特殊な設計の建築物を建てる際に役立ちます。
防腐、防蟻処理を生産時に施せる
LVLはほかの木材と比べて、薬剤が染み込みやすい点が特徴です。
薬剤が染み込みやすいため、防腐、防蟻処理をLVLの生産時に施せます。
建材の中心部まで薬剤が浸透しているため、長期間にわたって優れた耐久性を実現できます。
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二酸化炭素の貯蔵など環境に配慮した住まいに
LVLは、二酸化炭素を吸収した木材を活用して建築物を建てることで、二酸化炭素を貯蔵できます。
環境への配慮が求められる現代において、環境の負荷を軽減する素材として注目されています。
また、LVLは間伐材などの未利用材を原材料とする場合もあり、通常は廃棄されがちな資源を有効活用できる点も特徴です。
このように、LVLは環境に優しい建材であり、地球環境の保護にも貢献します。
LVL(単板積層材)を使用する「3つのデメリット」
LVLはメリットだけでなく、以下のデメリットを指摘されることがあります。
・寿命の短さを指摘されることがある
・かんながけが効きにくいなど加工性が低い
・釘打ち等で割れが生じたとき強度が低下する
不安に感じるかもしれませんが、実はそこまで心配する必要はありません。
1つずつ解説するので、LVLの使用を検討中の方は参考にしてください。
寿命の短さを指摘されることがある
LVLは正確な寿命がわかっていないことから、寿命の短さを指摘されるケースもあります。
しかし、常に渇いた環境であれば米国にて100年が経過したという建物の実績もあるため、過度に心配する必要はありません。
構造用LVLに使用されている接着剤は耐久性に優れており、耐久性の促進劣化試験では、10年以上経過したものでも接着力の低下はわずかとなっています。
かんながけが効きにくいなど加工性が低い
LVLは薄くスライスした単板を重ねて接着しているため、天然木材と比べてかんながけが効きにくく、加工性が低い点がデメリットです。
ただし、LVLは主に構造材として活用されるため、加工性が問題となるケースは少ないのでご安心ください。
釘打ち等で割れが生じたとき強度が低下する
LVLは釘打ち等で割れが発生すると、強度が低下する可能性があります。
単板を重ねて接着しているため、割れが接着面に広がると全体の耐久性に影響を与えます。
ただし、釘打ち等で割れが発生するケースは稀なため、心配する必要はありません。
まとめ│LVLで安心の住まいはactieまで
LVLは、2〜6mm程度の薄い単板の繊維方向をそろえて積み重ね、接着して作られた木質建材です。
「安定した強度の木材になる」「寸法のバラツキが少なくなる」などのメリットがあり、多くの戸建て住宅で活用されています。
今回の内容を参考にして、LVLのご利用を検討していただけると幸いです。
アクティエでは、お客様のどんな小さな声にも耳を傾けています。
「家族が安心して快適に暮らせる家を建てたい」「木材をふんだんに使用した温かみのあるナチュラルな家にしたい」など、あなたの声を聞かせてください。
お客様ご家族のこだわり・価値観に寄り添い、満足していただける住まいを実現するために尽力いたします。